健康手帳
今月の健康手帳
多剤併用
綿 打 診 療 所
大 舘 幸 太 先生
英語では「ポリファーマシー」と言われ最近、新聞などでよく取り上げられる言葉です。一般的には6剤以上のお薬を常用している状態を指すことが多いようです。
ご高齢の人は基礎疾患が複数あり、お薬の種類が増えてしまいがちです。ある調査では慢性疾患で治療中の65歳以上の人では、5剤以上の内服が4人に1人という結果が出ました。病院にいらっしゃる患者さまの中には10種類以上のお薬を常用されていることもあります。お薬でお腹がいっぱいになってしまい食事が取れないという話も伺ったことがあります。
それぞれのお薬は目的があって処方されたものですが、長期内服や他の薬剤との組み合わせで問題を起こしてしまうこともあります。ある調査では6剤以上のお薬を使うと体調不良の頻度が高まるといわれています。代表的なものとしては睡眠剤などが原因のふらつき、転倒、骨折など、他にはそれぞれのお薬の副作用の増強などです。お薬が多く管理が煩雑になることで、飲み忘れや飲み過ぎが起こることもあるようです。いずれにしても、健康になるためのお薬で体調を崩してしまうのは避けたいことですね。
対策としては、かかりつけ医に相談して差し支えなければお薬を減らしてみるのがよいでしょう。体調不良の際に処方された痛み止めや咳止め、胃薬などを何となく飲み続けていることはないでしょうか。症状が落ち着いているのなら中止を考えてみてもいいですね。医療機関では症状が続いているものと思って処方を続けていることもあるかもしれません。ただし自己判断でお薬を中止するのは危険なこともありますので、必ず事前にかかりつけ医で中止できるかを確認してくださいね。
薬の種類が多くなって管理が大変、薬代が高くて困っているなどと思われている人は、一度かかりつけ医での相談を検討してみるとよいと思います。